硬質(HA)、特殊硬質(SHA)アルマイト  Q&A

硬質アルマイトは何のために行うのですか?

 硬質アルマイトの目的の1部は、JIS‐H8603に記載しているように、素材(アルミニウム)より皮膜を硬くして傷をつきにくくする、擦ることによる摩耗を強くする、錆びないようにする、電気の絶縁性を上げる等の1つまたは2つ以上の組み合わせを目的に使用する。実際は硬質アルマイトの目的はこのような狭い範囲ではなく、まだ不明のところが多く実際のところ何に使用されているのかが不明です。

    硬質アルマイトについて疑問、質問等がおありの方は、ご一報いただければ幸いです。

硬質アルマイトとアルマイトの違いは何ですか?

  • 規格上の分類においてアルマイトはJIS‐H8601に記載されており、硬質アルマイトはJIS‐H8603に記載されている。
  • 硬質アルマイトは規格より「素地の耐摩耗性などの目的」と記載があり、アルミニウム材料の分類で硬さ、耐摩耗性、耐食性のクラスを分けている。一般的に、この皮膜は厚膜で傷がつきにくく、擦っても減りにくく、錆びに強い特長がある。
  • 一般的にアルマイトは皮膜厚さにより使用目的を分類している。その他に、薄膜、着色、染色、光沢、塗装下地等広くに使用されている。

硬質アルマイトの白とはどのような処理ですか?

硬質アルマイトの白には3つの意味があります。
  1.硬質アルマイトの薄膜。・・・自然発色前の状態
  2.硬質アルマイトの素地色で着色等を行わない。・・・・MIL規格による。
  3.アルマイトの厚膜。

内容についての説明は下記に記載いたします。
1. については硬質アルマイトのJIS規格(H‐8603)で指示がない場合は皮膜厚さ50μmで各性能試験を行っております。色調に関しては各合金種により黄褐色~褐色、薄グレー~グレー等の発色(自然発色)する性質があります。この発色を嫌い規格外の5~30μmの硬質アルマイトを行うと素地に近い色調でできる硬質アルマイトを硬質白アルマイトと呼ぶ業者もあります。

2.についてはMIL‐A‐8625FのTypeⅡ、Ⅲの硫酸及び硬質アルマイト皮膜におけるClass1に該当する着色、染色等をしない処理を言う業者もあります。

3.についてはアルマイトの温度を下げて厚膜にすると30μm前後で素地色に近い皮膜ができ、これを硬質アルマイト白または半硬質アルマイトと呼ぶ業者もあります。

硬質アルマイトの皮膜の厚さはどのくらいですか?

JIS規格(H‐8603)の各性能試験の皮膜厚さは50μmで評価しているので、この数値が基準ではないかと考えられております。しかし、皮膜厚さは目的により異なるために当事者間で決めればよいと思われます。

  • 皮膜厚さについては、弊社の最大皮膜厚さは約300μmまで処理したことがありますが、通常は展伸材(板、棒、押出材、引抜材等)で20~80μm、ダイカストのADC10、12で10~50μm、ADC5,6においては20~60μm、鋳物のAC2Aで10~30μm、AC4C、4Dで20~70μm、AC7Aで20~50μm等が多いいです。
  • 各合金による皮膜厚さ等について不明な点がある場合は、ご相談頂ければ解決いたします。
  • 弊社はすべての合金に硬質アルマイト処理が可能です。

硬質アルマイトの硬さとその測定方法はどのように行うのでしょうか?

・硬質アルマイトの硬さはJIS‐H8603(アルミニウム及びアルミニウム合金の硬質陽極酸化皮膜)‐5.3皮膜硬さより代表的な合金種別に分類したのが表1である。

・測定方法はマイクロビッカース硬度計にて皮膜断面の中央を測定し、厚膜時は中央と素地側を測定する。

 この時皮膜厚さは50μmで荷重は0.490Nで、薄膜の場合は0.245Nで3回以上繰り返し計測しその平均とする。

・写真の説明:
・上方の薄黄色の部位はアルミニウム素材部位。

・荷重100,50,25gfはマイクロビッカース硬度計の各荷重に於ける圧痕である。

・皮膜中の圧痕の縦、横の長さより硬さを計算する。

  実際においては換算表より硬さを求める。

  今回のA1050材においては硬さは25g荷重で15秒保持 にて403~412HVで平均が408HVとなりました。

・その他の簡易法
  硬さ計測法はハードネスタ―と呼ばれる硬さが一定のやすりで表面を擦る方法があるが簡便法としては使い勝手が良いです。

・硬質アルマイトの硬さ、その測定方法についてご不明な点がございます折には、ご相談いただければ解決いたします。

耐摩耗性はどのくらいで、どの様に測定するのですか?

耐摩耗性はJIS‐H8603に

よると、往復運動平面摩耗試験、

噴射摩耗試験、平面回転摩耗試験

がありそれぞれの数値が記載され

ている。この中で比較的よく使わ

れている往復運動平面摩耗試験に

いて説明をすると、JIS‐H8682‐1記載されている装置にて常温、相対湿度65%以下、荷重19.6±0.5N,摩耗速度40ds/min,予備摩耗100回、摩耗回数700ds(回数)の条件で50μmの硬質アルマイトをセットし行う。数値は表にて示す。

硬質アルマイトは指示がなければ封孔処理は行わないとなっているが何故ですか?

  • アルマイトは非晶質のアルミナ(γ‐AL2O3)よりできていて、これを水和封孔することにより、AL2O3・H2O(ベーマイト)に変化する。この時に皮膜硬さが低下するために、硬さ、耐摩耗性を求める硬質アルマイトは指示がなければ封孔は行わない。
  • 硬質アルマイトに封孔処理を要求する場合は、耐食性の向上又は不純物の溶出を抑えるために行う。
  • 耐食性を求めるのならば、特にADC12の耐食性に強く、硬質皮膜より安価な高耐食性処理AD864」を推薦致します。

ご不明なことがございます折は、ご一報いただければ幸いです。

硬質アルマイトに適した材質とは?

硬質アルマイトは目的別に材料が決められているので硬質アルマイトに適した材料というのはないのですが、質問の趣旨は要求性能が出やすく満足し、低コストで、皮膜厚さが安定している材料はなにかという質問と考えると

       性能が出やすい ←----------------------→ 性能が若干下がる
 ・展伸材では5000系=6000系=1000系>2000系=7000系
 ・ダイカストではADC5,6>ADC10,12
 ・鋳物ではAC7A>4C,4CH,4D>1A>3A=2B>8B
 ・しかしながら、同じA6061材においても厚板の切削材は80μm以上のの厚膜でも処理に問題はないが、圧延材の薄板においては80μm以上を処理するのに技術が必要とされる。

 ・合金名は同一でも、製造メーカーが変わると色調に変化が生ずるので、必要によってはメーカー名も指定することになる。

 ・同様に各材料においても使用方法により同一材料でも問題が発生することがありますので、不明な事はご相談頂ければ解決いたします。

 ◎ちなみに、弊社では全ての材料の硬質アルマイトが可能です。

A7075への硬質アルマイト加工処理は可能でしょうか?又皮膜の色調と皮膜厚さについて教えてください。

A7075材の硬質アルマイトは可能です。
 ・A7075材は皮膜厚さにより急激に色調が変化する点がありますので厚膜を発注するときには特に注意が必要です。

 ・例えば20~80μmでは厚みに応じて薄褐色~金褐色に変化し、80~100μmでは濃い褐色になり、100~120μmぐらいでは青白系グレーのきれいな色調になります。

 ・この合金は熱処理合金なので、熱処理により色調が変化することがありますので注意が必要です。
 ・材料が連続鋳造ですと表面の粗さにと色調に影響が出ますので、材質だけでなく製造方法も確認する必要があります。

 ・A7075の硬質アルマイトについてご不明な点がございます折には、ご一報いただければ解決いたします。

展伸材(A5052)鋳物(AC4C)とダイカスト(ADC12)の硬質アルマイト皮膜は素地と平行になりますか?

・展伸材の硬質アルマイト表面は機械加工に対応して皮膜が成長するので鋳物、ダイカストに比べて平滑であり、面粗さが小さい傾向にあります。

・下記の写真は展伸材、ダイカスト、鋳物の断面写真を撮ったものです。
・A5052材の断面写真と、AC4C,C12の断面写真を比較すると、合金成分、鋳造方法により表面の粗さが変わることが解ります。A5052材の皮膜は切削面に平行にあり、ADC12の皮膜は全体が凹凸になり、AC4Cはケイ素の針状結晶部位だけ面があれる傾向にあります。

・AC4CとADC12の写真中の白い斑点はケイ素が皮膜中に存在している状態です。

AC-3Aアルミ鋳物への硬質アルマイトについて。

AC3Aはシルミンと呼ばれている材料でケイ素が10~13%の鋳物合金でアルマイト及び硬質アルマイトを処理すると鋳肌表面に濃い銀光沢のグレー系の独特な皮膜ができるが、皮膜厚さ、性能については事前に協議が必要となります。

 ・鋳物、ダイカスト等の硬質アルマイトについてご不明な点がございます折に、ご相談いただければ幸いです。

アルミロールにSUSのシャフトをインサートしている部品への硬質アルマイトは可能ですか?

硬質アルマイトは可能です。
 SUSのシャフト部位にマスキングを行います。この時に問題になるのは
 1.マスキングの範囲はどのくらい?
 2.接点を取れる場所はどこ?
 3.アルミロールとフランジ部位の接合が溶接か、はめ込みか等により処理の方法が変わりますので、事前にご相談いただければ幸いです。

A2017への硬質アルマイトの色調について教えてください。

硬質アルマイトの色調は黄褐色系と素地色系の2種があります。色調は皮膜厚さにより
 ・褐色系が薄いのから濃い方へ変化致します。
 ・素地系は素地色~薄いグレー系に変化します。
 ・図面、注文書等に色調の記載がない場合は褐色系で作業を進めさせていただきます。
 ・色調を問題とするお客さまは事前にご相談いただければ幸いです。

硬質アルマイトの膜厚を上げると表面硬度が上昇するのは何故か?

硬質アルマイトの硬さはJIS規格で断面にて測ることになっております。
 ・表面から硬さを測定すると皮膜厚さが硬さに影響されます。これはマイクロ・ビッカース硬度計の圧子が正四角錐のダイアモンドでできていて、この圧子を試料面に一定速度で打ち込むために硬質アルマイト皮膜の様に皮膜と素地が極端に硬さの差がある場合には表面から打ち込むと皮膜が薄いと圧子が皮膜を突き抜けて素地まで達することにより柔らかめに出ます。皮膜厚さが厚くなるにしたがって素地の影響を受けにくくなるので、厚膜になるにしたがって硬さが増すようになります。

 ・硬質アルマイトの皮膜硬さはJIS規格(H8603‐6.3)に記載があるように「皮膜の硬さは断面」で行うようになっている。詳細については規格を参考にしていただければ幸いです。

 皮膜の硬さ、測定方法等についてご不明ごとがございますれば、ご一報いただければ解決いたします。

 

参考
・硬質アルマイトの皮膜硬さは350~400HVで、素材が90~110HVために圧子を打った時に薄膜(20μm以下)だと素材の影響をまともに受け実際の皮膜より柔らかく出て、極端に薄い(10μm以下)場合は座屈をして圧痕の周りにクラックが発生することがあり、薄い皮膜は柔らかめに出る傾向があるので、皮膜を厚くし素材の影響を極端に少なくすると皮膜は本来の硬さに近くなります。

 このように表面から硬さを測定するときは皮膜厚さを50μm以上で規格の荷重より小さい、25g又は10gを使用しないと素材の影響を受けることになります。

 しかし、表面からの測定は暫定的であり、参考にされるのは良いですが硬さの数値とはなりません。硬さの測定でお悩みの方はご相談いただければ幸いです。

 

参考
 アルマイト及び硬質アルマイトの皮膜の硬さはJIS規格(H8603‐6.3)に記載があるように皮膜の硬さは断面で行うようになっています。今回の皮膜を厚くすると硬度が上がるとありますが、通常は皮膜を厚くすると電解液に接している表面の溶解量が増して表層側が柔らかくなるのですが、今回はこれの逆なっていますので、皮膜硬さは表面側が柔らかく素材(アルミ)側が硬い傾向にありますので、今回の件を推察するにはビッカース硬度の規格はJIS‐Z2244に記載されていて、特に皮膜を測定するときはマイクロ・ビッカース硬度計を用いる。この硬度計の原理は「正四角錐のダイヤモンド圧子を試料面に押し込み、その試験力(F)を解除した後、表面に残ったくぼみ(圧痕)の対角線長さを測定する。」と記載があるように、先のとがった四角錐で荷重をかけて一定速度打ち込むために、全体が同一材料か、積層の場合は圧子荷重が影響を及ぼさない厚みがあれば問題がありません。

 

硬質アルマイトに関するアドバイスが欲しいです。

硬質アルマイトの使用いただくにあたっては、JIS規格(H-8603)を参考にされては如何でしょうか?


・硬質アルマイトを何の目的で使用するのでしょうか?
   例、硬さ、耐摩耗性、耐食性、絶縁耐力、電気抵抗、色調等の単独または複合の使用目的があると思われます。


・その性能のどのレベルを要求するのですか?
   例、硬さにについてA5052材で380~400HV


・材料はなんですか? 合金種は何ですか?
   例、展伸材で、A5052,A6061,鋳物材:AC4C,AC7A


・異種金属が鋳込み、溶接、接合されておりませんか?
   例、ステンレスの鋳込み、接合、又ヘリサートが入っておりませんか?


・色調の制限がありますか?
   例、合金種、皮膜厚さ、前処理等により色調が変化しますので、基準色を中心に良品の上限・下限、不具合品の上限・下限等を決め、それぞれの色調、色差を決めておいた方が後日の憂いにならないと思われます。


・寸法精度に制限はありますか?
   皮膜厚さでなく、寸法での要求がありますか? よく使用されるH7,h7公差においても、マスキング対応と処理技術対応がございます。処理技術での対応には以下の項目が必要となります。材料、製造方法、平面、丸棒、穴等の面粗さ、形により異なりますので事前にご相談頂ければ幸いです。


・面粗さに制限はありますか?
   例、硬質皮膜後の面粗さを要求されるときは加工の面粗さの形と粗さが問題となりますので、事前に打ち合わせが必要となります。


  硬質アルマイトでお困りの方はご一報いただければご相談に乗れる体制が整っております。

 

再硬質アルマイトは可能でしょうか?

再硬質アルマイトは可能です。
 再硬質アルマイトの目的によっては2つの方法があります。


 1.設計変更、加工忘れ、加工ミス、傷等の部分的に修正する場合。
 2.皮膜を剥離して全面処理をし直す。
   1.に関しては、皮膜を剥離しないで再硬質アルマイトを行う特許を取得しており、実際に行っています。ご興味があればご相談頂ければ幸いです。

   2.に関しては、全面剥離を行いますので下記の項目が問題となります。

      ①剥離前の皮膜厚さの問題。

      ②再硬質アルマイト後の面粗さの問題。

            ③再生硬質アルマイトは皮膜厚さを要求されているのか、

              剥離前の寸法を要求されるのか?


 ・弊社の剥離法は特殊の液にて剥離するために通常の剥離よりも、材料に対する減少量が極端に少なく、面粗さも小さい剥離法ですが、上記の3つについての問題点が発生いたします。実際に行うにあたって、下記の注意点があります。

  Ⅰ.硬質皮膜を剥離すると選択的に剥離がおこるために剥離時は気付かないが、再硬質皮膜を行うと面粗さが機械加工時よりも落ちる傾向があり、特にダイカスト、鋳物等が顕著である。又展伸材においては、クラック、指紋、油汚れ等がある場合はそのまま転写されることがあるので注意を要する。

 Ⅱ.硬質皮膜は機械部品等に使用されるために皮膜厚さより寸法を要求されることが多い。この場合の再硬質皮膜は剥離の皮膜の2倍+10~15%の皮膜厚さをつけないと元の寸法に戻らない。

   ・・・詳細は下記へ

 詳細

 ・例えば、剥離前の面の位置を基準面「0」mmとし、皮膜厚さを50μmとしたとき
  剥離後は基準面より‐0.05mm剥離面が下がる状態になる。
 ・再生硬質皮膜は剥離面より増加量が+0.05・・50μm+5μmぐらいつけないと基準面に戻らない。
  ここで+0.05mm増加させるのには皮膜厚さとしては最低100μmが必要となる。

A6061材に硬質アルマイトを厚く処理できるか?

可能です。
 ・機械加工で切削物については120μmぐらい処理することがあります。

 ・薄板の圧延板については80μmの処理を行っています。
 ・圧延板の薄板の硬質アルマイト厚膜(70μm以上)処理は技術を必要といたしますので、ご相談頂ければ対応いたします。

半導体装置で使用するパーツへの硬質アルマイト処理について教えてください。

半導体の硬質アルマイトは2種類に分かれており
 1.硫酸系を除く皮膜
 2.硫酸系を含む皮膜
  1.については不純物を極端に嫌うところで使用されております。
  2.については不純物を嫌うところで使用されておりますが硫酸単独皮膜は不純物の溶出等により使用されておりません。

そのほかに、封孔は蒸気封孔で、各工程の建浴、水洗水は純水を使用し、不純物の混入経路を塞ぐ方向で処理を行っております。

   ご不明な点がございます時には、ご相談頂ければ幸いです。

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