硬質(HA)、特殊硬質(SHA)アルマイト
【硬質アルマイトとは】
アルミニウム表面処理の規格一つであるJIS H 8603(アルミニウム及びアルミニウム合金の硬質陽極酸化皮膜)に基づく皮膜です。別名ハードコート、ハードアルマイト等と呼ばれています。規格は合金種により皮膜を5種類に分け、硬さ、耐摩耗性、皮膜質量、耐食性等の性能をそれぞれの数値で評価しています。
【硬質アルマイト処理について】
合金種、皮膜厚さにより、黄褐色~褐色~黒、黄褐色~褐色~乳青色、グレー~黒等の色調変化が生じます。色調と皮膜厚さから合金種を推測することが出来ます。
ご指定がない限り、皮膜厚さは50 µmが規格の評価皮膜厚さとなります。
【当社の硬質アルマイトについて】
当社では様々な種類の硬質アルマイト技術がございます。
・硬質アルマイト(HA):JIS規格対応
・特殊硬質アルマイト(SHA):合金種、製造方法を問わず硬質アルマイトの作製可能
・特殊仕様硬質アルマイト(AHA):400~450HVの特殊仕様の硬質アルマイト
・超硬質アルマイト(UHA:超硬マイト®):JIS規格を超えた超硬質アルマイト
① UHA‐1:450~500HV、
② UHA‐2:500~550HV
③ UHA‐3:550~600HV ※使用目的により選択可能です。
・耐摩耗性アルマイト(タフガード®):耐摩耗性の高いアルマイト
硬質アルマイトの1.8倍,硬質シュウ酸アルマイトの1.2倍の耐摩耗性を有しています。
・耐熱性黒アルマイト(ヒートブラック):高温でも変色しにくい耐熱硬質黒アルマイト
皮膜厚さ:20~30μm、硬度:350~400HV. 寸法公差はH7公差可能です
Hard (HA), Special Hard (SHA) Anodic Oxide Coating

硬質アルマイト(HA) Hard Anodic Oxide Coating (HA)
適応合金 Applicable Alloys |
工業用純AL系(A1000番系)、Al-Mn系(A3000番系)、AL-Si系(A4000)、Al-Mg系(A5000番系)、AL-Mg-Si系(A6000番系)、AL-Zn系(A7000番系) アルミ鋳物(AC4C,4D,7A,7B) アルミダイカスト(ADC5,6) |
皮膜厚さ Film Thickness |
30~150μm、特に指示のない場合は50μmを標準とします。 |
皮膜の硬さ Film Hardness |
合金によって異なります。 400HV以上……A1000番系、A5000番系、A6000番系 350HV以上……A3000番系、A4000番系、A7000番系AC4C,4D,7A,7B、ADC5,6 |
処理可能最大寸法 Maximum Treatable Measurements |
長物・・・2500㎜×1000㎜×500㎜ 板物・・・2300㎜×2100㎜×500㎜ |
※傷つきやすい為、事前にご相談ください。
特殊硬質アルマイト(SHA) Special Hard Anodic Oxide Coating (SHA)
適応合金 Applicable Alloys |
A2000番系、ADC10,12をはじめ、すべての合金に適応します |
皮膜厚さ Film Thickness |
5~150μm |
皮膜の硬さ Film Hardness |
合金によって異なります。 370HV以上……A1000番系、A5000番系、A6000番系 330HV以上……A3000番系、A4000番系、A7000番系AC4C,4D,7A,7B、ADC5,6 |
処理可能最大寸法 Maximum Treatable Measurements |
2500㎜×1000㎜×500㎜ |
※材質、成形方法により異なります。
寸法増加量(片面についての変化量)
増加量(㎜)=皮膜厚さ(㎜)×0.45~0.50
※合金によって異なるため、図面指示の場合は事前にご相談ください。
[例]硬質アルマイト50μm処理時の片面の寸法増加量
片面の増加量…0.05㎜×0.45~0.50=0.022~0.025㎜.
打ち合わせ上の注意及び確認事項
- 合金名
- 有効面(必要とされる面)及びマスキング部位(処理を行なわない部位)
- 皮膜厚さ及び寸法(機械加工寸法、仕上げ寸法)
- 皮膜厚さ及び合金種による色調違いと限度見本(上限、基準、下限)
- ラッキング用接点部位
- 図面、サンプル
- 検査基準、外観判定基準、包装基準等